囲碁AIが新しいステージに突入した囲碁AIは新しいステージに突入した

人類のトップ棋士を撃破した囲碁AI「アルファ碁」の登場から約2年がたち、囲碁AIの世界は新たなフェーズに突入した。人間対AIという構図は終わりを告げ、AI対AIの競争が激化している。中でも突き抜けているのは、グーグル、フェイスブック、テンセントという米国と中国を代表するIT大手だ。激動の「三国志」の時代に突入した囲碁AIの最新動向を、前回に引き続き大橋拓文六段が描く。

>>1回目を読む  >>2回目を読む

深夜の対局を数千人が観戦
中国は今、囲碁AIがアツい

 6月22日、筆者は中国・北京を訪れた。中国の大手IT企業、テンセントが「囲碁AI世界大会」を開催したからだ。

 中国では今、囲碁があらためてブームになっている。トップ棋士は本業の対局はもちろん、休む間もなくさまざまな地方で行われるイベントに顔を出す。女性のレーサーと棋士がペアになって中国各地を回ったり、エベレストの麓で決勝戦を戦ったりなどといった企画もある。

 数あるイベントの中でも、ひときわ注目を集めるのは囲碁AIだ。中国は、グーグルの「アルファ碁」によってAIの重要性に気づいたとも言われるほど、囲碁AIの開発が盛んだ。企業や大学が先を争って囲碁AIを開発し、「人間より強い」と言われるAIは既に10以上ある。