みんなの党の江田憲司幹事長が『財務省のマインドコントロール』という本を出版。この種の本としては異例のベストセラーになる気配だ。
早速私も読んでみたが、実に衝撃的な本だ。もしもこの本が100万部も売れたら、それだけで日本が変わるのではないかと思わせる。
財務省の“影”を見極められる
政治家に必要な2つの条件
財務省にかかわらず、どんな組織にもそれなりの“光と影”があるもの。だが、現在の財務省には組織益を優先することによる影が大きく、光はほんのわずかに射しているに過ぎない印象を受ける。この劣化現象は30年ほど前から徐々に拡大深化してきたと私は見ている。
江田氏は、橋本龍太郎元首相の政務秘書官として、1997年の消費税増税や省庁再編の真っ只中で、当時の大蔵省の掛け値なしの実態を見てきている。だから、財務省の影の部分を熟知する数少ない政治家だ。
そもそも、この影の部分を見るためには、その政治家が2つの条件を満たしていなければならない。
その1つは、首相、官房長官や官房副長官など官邸詰めの政治家として、重要政策の決定過程に関与すること。
もう1つは、その重要政策の内容や決定過程に関して、財務省と異なる意見を持ち、最後まで妥協しないでやりあったこと。
たとえ首相や官房長官であっても、大蔵省、財務省の言いなりの人は、いくら長く在任しても、その光の部分しか見えず、牙をむいた影の部分を見る機会はない。
おそらく江田氏は、さまざまな局面で、大蔵省と相容れず、丁々発止と戦ったのであろう。それはまた橋本元首相が大蔵省の言いなりにならなかったことをも意味している。
江田氏は著書で「ごくごく一部の例外を除けば」歴代の政権は「財務省支配政権」だと断じている。この性格は民主党政権になって一段と強まり、野田佳彦政権に至っては「ひたすら大増税ミッションだけを担う財務省支配政権」と厳しく規定している。