ドイツは介護保険料を4回アップ、
総費用を抑制するための仕組みも導入

 日本より5年早く介護保険をスタートさせ、日本が参考にしたのがドイツ。

 高齢化率は22%で、日本より5ポイントも低い。それでも制度発足以来、保険料率を4回アップさせ財源を拡大させてきた。昨年1月には多くの認知症の人を対象者として迎え入れる大改革を断行した。

 規模を拡大しているように見えるが、実は、総費用を抑制する仕組みを巧みに取り込んでいる。ひとつは「部分給付」と言われる基本的な考え方であり、もう一つは家族介護を広げるための現金給付である。

 スタート時の保険料率は収入に対して1.7%だったが、昨年1月には2.55%まで上げた。経済成長が大幅な上昇を支えた。同時に3段階の要介護判定を5段階に広げた。(図3)

 認定基準も大きく変わった。「介護にどのくらい手間がかかるか」から「本人がどんな生活ができるか」になった。同時に身体介護中心だった制度に認知症など精神・知的機能面からケアが必要な人も要介護者に含めた。

 度重なる制度改定の中で、近年、認知症の人向けに「要介護0」を設け、要介護1のほぼ半額の給付をしてきたが、昨年1月には本格的に取り込んで要介護2にアップした。

「確かに認知症の人への判定が緩やかになり、利用者が20%ほど増えた」「サービスを受けられる人が増えたのは良いことだと思う」と改定を評価する事業者が大半だ。

 ベルリン在住のジャーナリストで研究者の吉田恵子さんは、「新たに約50万人の高齢者が要介護者と認定された。その大半は認知症の人になった」と言う。

 なかには「とっても複雑で基準項目が15から144にも増えて大変。要介護度が低くされたと言う利用者のために、不服の申し立てをしようにも簡単にはいかない」(リュッセルハイム市のアルツハイマー協会)と嘆く声もある。

 日本の介護保険でも、「認知症の軽度者は歩行や食事摂取など身体動作に問題がないことが多いため、要介護認定が軽くなってしまう」と苦情が寄せられ、認定基準の見直しを迫られたことがあった。もう10年ほど前のことだ。現地の施設視察の体験を踏まえても、認知症ケアへの取り組みは日本が一歩先行しているようだ。