永田 あと、日本人の強い同調意識や、(そのことを自体を楽しもうという本質以前に)まずは型から入り集団の「和」と「輪」に入ることで安心するという文化特性が見て取れます。個人主義社会に身を置き、人は人、自分は自分と人目を気にしない人が多いフランスとは、ある意味真逆の光景です。フランス人はスキー場でも(一部の高級リゾート地を除き)、ジーンズとか好きな格好で滑る人が多い。ジョギングも、東京なら皇居とか、日本のように走る場所や格好が暗黙の了解ごととして決まっているわけではなく、家の周りとか、場所も格好もさまざまです。

大塚 休みは、取り方や過ごし方次第で、お金をさほどかけずに充実させられるはずですが、文化がそれを邪魔しているということですね。あと、「休暇は高くつく、疲れているのにさらに疲れに行くようなもの」とおっしゃる方が多い感じがします。弊社では有休は100%取得で、その取り方も柔軟にしています。有休は従業員の成果であり権利なので、取得してしっかり休んだり、日頃できないことをするためにあるという考えが前提にあります。

 例えば、私のここ2年の夏休みは、1ヵ月休みを取り、NPOでプロボノ(プロフェッショナル・ボランティア)でした。自分が持つマネジメントの知識やスキルで地域活性化や社会問題解決に少しでも役に立ちたいと願うからです。私の方もこうした活動を通じて、普段の仕事では見えない課題に気づくことができます。新たなインプットを得た充実の夏でした。その時に知人から言われたことは、「何でせっかくの休みなのに働くの?」です。ただ、私にとっては、日頃から毎日の疲れやストレスをリセットして休めているので、エネルギーが常に満タン状態です。そのエネルギーを使って、休暇中に他のところで力を発揮しようと思えるのです。

日本では、そもそも有休を
まともに取れない人が多い

大塚 ところで、日本では、そもそも有休をまともに取れない方が多くおられます。原因はいろいろですが、永田さんはこれを文化の視点からどう捉えていますか?

永田 確かに、僕からすると、日本の50%という先進国最低レベルの年休取得状況は、文化によるところが大きいと思います。特に、「権利」の捉え方です。大塚さんのような法律に明るい方には釈迦に説法かもしれませんが、年休は、あくまで健康で豊かな生活を営むために法律で保障された労働者の権利です。この法的な位置づけは日本も欧州も同じです。

 ただ、権利の解釈が欧米と日本では抜本的に違う。権利は、属する集団への義務の代償として与えられる人権であり、それを行使することを正義とする欧米と、権利は、組織の中で和が保たれる限りにおいて成り立つもので、これを行使することで和を乱すことは組織への背信とか不義とされがちな日本。日本では権利の言葉にネガティブなイメージが付きまとっているので、本人も主張しにくい。