マンションのモデルルームにいくと、お客はなぜ契約したくなってしまうのか
新築マンションのモデルルームには、訪れた人に物件購入を促すカラクリがいくつもある。それらは実に用意周到で、訪れる人はつい契約したくなってしまう(写真はイメージです)Photo:PIXTA

人は最初の2秒で不動産を決める
新築モデルルームに隠されたカラクリ

 新築モデルルームには、訪れた人に物件購入を促すカラクリがいくつもある。

 その中の1つはモデルルーム用に物件の標準仕様を変更したオプションだ。オプションにしているところにはシールを貼り、「標準仕様ではありません」と販売員は断りを必ず入れる。建前上は誤解を招かないための必要な説明だからだ。

 とはいえ、そもそも標準仕様通りのモデルルームを筆者は見たことがない。だからモデルルームでは、期待値を高くする印象を意図的に生み出していると考えた方が素直だ。

 次に家具は、小ぶりなものを用意することが常とう手段になる。そうすることで、部屋が大きく見えるように錯覚を起こさせているのだ。たとえばモデルルームを訪れた人は、実際にそこで生活するようにダイニングテーブルに食器を並べたり、チェアに座ったりしないから、家具の相対的な小ささには気づかない。

 最後に、照明器具や絵などの飾り物や内装仕様だ。これについては高級感を出すために、実際に高級なものが設置されることもある。海外のデザイナーの照明器具やセンスのよい芸術品は、もちろん物件を買っても一切付いてこない。頭ではわかっていても、人は雰囲気にのまれるものだ。

 モデルルームを見た人が、「このままの仕様で売ってください」ということは多い。その際、販売員はお茶を濁すはずだが、その理由は明快だ。モデルルーム仕様にするのに、1000万円以上も余計なお金がかかっているからだ。6000万円のマンションをモデルルーム仕様にすると7000万円以上なので、その価格では買う人はいなくなってしまう。

 前述のように、業者にとって1戸1000万円のデコレーションや億を超える販売センター建設の費用は、新築マンションのように数十億以上の売り上げが上がる事業規模があるからこそできることなのだ。もちろん、そのコスト以上の効果があるからやっているわけであり、そうしたリスクを負っていない部外者がその是非を語ることではないだろう。同じ立場になったら、誰でもそうする可能性は高い。