「なぜ今になって参入することにしたんでしょうね」。損害保険業界で今、もっぱらそうささやかれている話題の商品がある。損保ジャパン日本興亜が2019年1月から提供を始める、12時間単位の自動車保険「乗るピタ!」だ。
実家に帰ったときに親の車を借りて外出したい、友人の車を借りてドライブに行きたいといった、一時的な利用シーンを想定したもので、ここ数年、マイカーを持たない若者の間でニーズが高まっているという。
民間調査で半数以上が「自動車を買いたくない」と回答するなど、クルマ離れが着実に進む若者たちといかに接点を持ち、保険の需要を掘り起こしていくか。
それが損保として大きな課題になる中で、東京海上日動火災保険は12年1月から、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は15年10月から、24時間単位で気軽に加入できる自動車保険を投入している。
大手では損保ジャパンだけが取り残されたかたちだったが、当時同社の幹部からは「システム投資がかさむ割に、実入りが少ない」「親の自動車保険の特約で、子どもの事故リスクもカバーできるためニーズは小さい」と商品に否定的な声が目立ち、自分たちは手を出さないと言わんばかりの姿勢だった経緯がある。