不動産屋は毎日が日曜日

 数ある資格の中で、なぜ宅建を選んだのかというと、「誰にでも受験できる四者択一のペーパー試験だったこと」と「街の不動産屋を見ていて、いつも暇そうだったこと」が理由です。

 バブルの頃、再開発事業のコンサルタントをしていたときは、いろいろな商店主の方を見てきましたが、仏壇屋と家具屋と不動産屋はいつも客がいないのに、なぜか羽振りがよかったのです。みんな車はベンツに乗っていました。そんなこともあって、私にとって宅建は唯一取得したい資格でした。

 私が50歳を過ぎて、いざ不動産屋を開業してみると、開店休業、毎日が日曜日で何もすることがありません。

 1年間はまったくやることがなく、家に引きこもって朝から株価ボードを見ながらひたすらデイトレードに専念する日々が続きました。

 2年目になって、せっかく供託金を積んで業者登録をしたのだから、少し回収しなければという気持ちがようやく湧いてきました。でも、売る物件がないので、知り合いの業者さんが売り出していたアパート用地を投資家さんに紹介し、50万円の仲介手数料をいただいたのが初めての仲介です。

 そのとき思ったのは「なーんだ! 他人が売り出している物件に客を紹介するだけで、こんなに簡単に手数料をもらえるんだ!」ということです。

 これに味を占めて、ほかの業者さんが売り出している物件にお客さんを紹介することで、簡単にサラリーマンの年収程度を稼げるようになりました。

 開業6年目になった今も、せいぜい2ヵ月に1件程度の成約ですから、毎日が日曜日状態は続いています。