この仮説を検証するために、今度は勉強時間が「30分~2時間」、睡眠時間は「6~8時間」という勉強時間も睡眠時間もきちんと確保している子ども達だけに絞って、読書時間と成績の関係を検証してみました。すると、今度は読書を長時間している子どもほど成績が高いという「単調増加の関係」が表れました。

 この結果から、読書をしすぎること自体が何か脳に悪い影響を及ぼしているわけではなく、読書時間を確保するために勉強や睡眠の時間を削ってしまうことが間接的に成績低下につながっているという可能性が示唆されました。

小学生ほど本を読んだ方がいい理由

 読書のしすぎが間接的に成績低下につながるということは、言い換えると一日の読書時間には最適な時間が存在すると言えます。もしも最適な時間があるとするならば、それは小学生と中学生で異なるのでしょうか。

 小学生、中学生共に最も高い成績を上げているのは一日「1~2時間」読書をする子ども達でした。一方で、中学生の方が、小学生よりも、読書「2時間以上」の子ども達の成績の落ち込みが大きいように見えたのです。なぜ、このような発達による違いが生じるのでしょうか?

 理由は2つ考えられます。

(1) 若い年齢ほど読書の効果が大きい

 ヒトは高度に進化した脳を収容する大きな頭を持つため、他の動物に比べ未熟な状態で産まれます。そして生後間もなく、身体も脳も急激な発達を遂げます。
 なかでも言語機能の発達のピークは8~10歳と言われています。つまり、読書を通して得られる言語機能の発達という側面から見た効果は、中学生よりも小学生の方が大きいと考えられるのです。