国内大手4社の中で、唯一本業のもうけが伸び悩んでいる住友生命。その要因を細かく分析していくと、有価証券運用をはじめとして、保守的な財務運営の姿が見えてくる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅) 

 生命保険会社の本業のもうけを表す「基礎利益」。低金利による運用難の環境下でも、国内大手各社が海外事業の拡大などで何とか利益を伸長させる中で、唯一伸び悩んでいるのが住友生命保険だ。

 2017年度のグループ連結の基礎利益は3636億円(図(1))。前年度よりは伸びたものの、14年度と比べると10.2%低い水準にとどまっている(図(2))。

 伸び悩みの要因は大きく三つに分けられそうだ。一つ目は、過去に集中的に販売した投資性の強い「変額年金保険」に関する会計処理にある。

 住友生命は14年度まで、将来の年金支払いに備えて、積み立てていた標準責任準備金を戻し入れたことによる利益が約400億~800億円発生していたが、過去2年は10億円台にとどまっており、その分基礎利益を押し下げる格好になっている。

 一方で、責任準備金の戻入益による影響を除いても、実質的な基礎利益はほぼ横ばいだ。その理由は、基礎利益のおよそ8割を占める危険差益が減少していることにある。

 住友生命は、「利率変動型積立終身保険」を中心に保有契約高の減少幅が相対的に大きく、17年度は5年前に比べて16.8%も減っている。それが危険差益の漸減につながっているわけだ。