QEESIはアメリカのミラー博士が、化学物質過敏症(以下、過敏症)の診断と治療のために開発した調査方法で、5項目の質問(各項目10問)に10段階評価で答えてもらい、一定の点数(カットオフ値=診断分岐値)以上なら過敏症と判定する。

 調査ではこのうち、

「(タバコの煙や殺虫剤・除草剤などの)化学物質曝露に対する反応」
「(水道のカルキ臭など)その他の化学物質曝露に対する反応」
「症状」

 という判定に必要な3項目を尋ねた。

 3項目すべてについてカットオフ値を上回った人を(化学物質に対する感受性が高い)「高感受性」の人と判定した(注2)

 高感受性の人は、化学物質に対して強い過敏症状を示し、QEESIで過敏症と判定された人のことだ(専門医の診断を受けていない人や別の病気に誤診された人も含む)。言い換えれば「潜在患者」も含めた患者である。

 調査では、成人の4.4%が「高感受性」だった。男女別では、男性3.1%、女性5.5%と有意な差が出た。日本の20歳以上の人口は約1億500万人なので、「高感受性」の人は約460万人になる。

 また「化学物質に対する反応」と「その他に対する反応」の2項目についてカットオフ値を上回った人を調べたところ、7.7%だった。

 この人たちは化学物質に対して相当な過敏症状を示す、いわば「準・高感受性」の人、過敏症になる可能性が強い「予備軍」も含めた人たちである。

 過敏症の主な原因が近年は香りつき商品になっていることを考えると、「準・高感受性」の人のほとんどは、「香害」の被害者と考えてよいのではないか。約800万人になる。

 調査では、実際に過敏症の診断を受けたことのある人が1.02%(約110万人)、シックハウス症候群の診断を受けたことがある人が0.97%(約100万人)いたこともわかった。

 調査は20歳以上の人を対象に、高残香性の商品が発売され出した2012年に実施された。

 20歳未満の人や、その後6年間の増加分を加えれば、現時点で過敏症の疑いが濃い人、つまり「患者」が550万人程度、香害被害者が1000万人程度と推定して見当外れではないだろう。

(注1)内山巌雄・東賢一「化学物質に高感受性を示す人の分布の経年変化の評価」(厚生労働科学研究費補助金【健康安全・危機管理対策総合研究事業】シックハウス症候群の発生予防・症状軽減のための室内環境の実態調査と改善対策に関する研究 平成23年度総括・分担研究報告書 p24-36
厚生労働省研究成果データベース 文献番号:201134030A

(注2)QEESIは各質問について、「反応なし」(0点)から「動けなくなるほど強い反応がある」(10点)まで、10段階で回答してもらう。この研究では「化学物質曝露への反応」が40点以上、「その他の化学物質曝露への反応」が25点以上、「症状」が40 点以上の3つがそろった人を「高感受性」と判定している。