筆者も当時、内閣参事官で官邸にいて、制度創設を手伝った。

 この制度の画期的なことは、税額控除の仕組みと寄付金を合わせているので、事実上、税の使い方を国民が選ぶことができることだ。

 これは、政府(官僚)が税で徴収して政府(官僚)が配分するのが公正であるという官僚の考え方とはまったく反している。そのため、ふるさと納税の創設の時、官僚は猛反対だった。

 それを、当時の菅総務相が政治的な豪腕で押し通したものだ。

 社会学ではチャールズ・チボーの「足による投票」という言葉がある。

 好ましい行政サービスを提供してくれる自治体に住民が移動して、住民税などを払い自治体の財政収入が上がる。それで住民サービスもまた充実するから、そうした自治体のほうが生き残るという考え方である。

 ふるさと納税は、実際に住民が住所を移転しなくても、財政収入に影響を与えて、好ましい行政サービスを実施する自治体を応援するわけだ。

「足による投票」は、住民に望ましい首長を選挙で選ぶ「手による投票」とともに、よりよい自治体運営を目指すためには不可欠な考え方である。ふるさと納税は、「足による投票」を推進するものと考えている。

 今では、総務省のホームページにも、ふるさと納税の意義が出ている。

 2015年1月からは、自己負担額の2000円を除いた全額が控除される限度額である「納税枠」が2倍に拡大された。さらに、15年4月以降に行われるものについて、一定の場合に確定申告が不要になる特例が設けられた。