有望な自動車市場の中国から
初めて日本の自動車メーカー撤退
スズキは9月4日、中国の江西昌河汽車との合弁会社である昌河鈴木汽車について、「スズキの持ち株すべてを昌河汽車に譲渡し、合弁を解消した」と発表した。スズキは記者会見で「販売計画を達成できず経営的に苦しい状況が続いていた」と撤退の理由を語った。スズキは中国にもう1社、長安鈴木汽車という国営大手である長安汽車との合弁会社を持つが、こちらは存続させるという。有望な自動車市場である中国から、初めて日本の自動車メーカーが撤退することについて、中国メディアの間では「危険であり、得策ではない」との論調もある。
昌河(発音はチャンゲ)汽車は国営大手である北京汽車の傘下にある。もともとは江西省が出資した1973年創業の小型バス専門メーカーだ。昌河鈴木は1994年8月に設立され、直近のスズキ出資比率は46%だった。それ以前からスズキと昌河汽車は提携関係にあり、スズキは軽ワンボックス、キャリイ・バンの生産ライセンスを供与していた。昌河鈴木は、この実績を背景に中国側の要請で設立されたメーカーである。余談だが、キャリイ・バンの3列座席仕様は北京市のタクシーとして採用され、ヒット作になった。