ここ1年で急速に注目を浴びるようになったキャッシュレス決済。多くの人が現金のやりとりから解放されることで利便性を感じる一方で、IT企業による異業種参入ラッシュでキャッシュレス決済ビジネスは激戦区となりました。週刊ダイヤモンド9月29日号第1特集「乗り遅れるな! キャッシュレス」では、そんな業界内で繰り広げられる覇権争いもレポート。今回、特集で掲載した記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

早期に取扱高3兆円の
達成を目指すりそな

 この夏、キャッシュレス化の波に乗って、決済という金融の世界にIT企業がなだれ込んできた。そして、晩夏にはもう一波乱待っていた。

 8月30日、りそなホールディングス(HD)は「りそなキャッシュレス・プラットフォーム」と銘打った機能の提供を11月から開始すると表明。その中で、クレジットカード会社がなりわいとしてきた事業に、大手として初めて銀行本体が乗り出すことを打ち出したのだ。

 図に示したように、その事業というのが、クレジットカードを取り扱ってくれる加盟店を開拓する、アクワイアリング業務と呼ばれるビジネスだ。

 クレジットカードや電子マネー、QRコードなど主なキャッシュレス決済に1台で対応できる端末の設置・保守費用を、りそなHDが負担して店舗に無償で提供。さらに、店舗側が負担する決済手数料の削減や資金繰り負担の軽減といった支援も手掛ける。

 りそなHDは「薄く、広く、長く」手数料を稼ぐビジネスモデルへのシフトを標榜しており、本件はその一環だ。経済産業省は、2016年に20%(60兆円)だったキャッシュレス決済比率を、25年までに40%へ引き上げる目標を掲げている。その市場拡大分のシェアを獲得することで、早期に取扱高3兆円の達成を目指すという。