私はスタートアップイベントにも数多く参加しているのですが、どこに行っても「本物の起業家」は人を惹きつけるし、多くのポジティブなパワーを周囲に提供していると感じています。そのような方々に起業のきっかけについて聞くと、たいていの場合「それしか思いつかなかった」「(自分がやりたいことを)やっている会社がないから自分で創るしかなかった」という回答が返ってきます。つまり、自分の行動や思考の着地点として起業があった、という感じです。

 一方で、「何が目的でもいいからとにかく起業したくて、アイディアをいろいろ考えていた」というタイプの人は、少なくとも私の周りにはいません。ましてや「お金持ちになりたくて起業をすることにした」という人にも会ったことはありません。もしかしたら、内心ではそういうモチベーションがあるのかもしれませんが、それを前面に押し出して起業した人が知り合いにはいません。

 そのマインドがダメなのかどうかは分かりませんが、少なくとも信頼できる仲間に囲まれて成功したり成長したりする起業家は、滅私の精神で仕事に取り組んで、自分が生み出すサービスやプロダクトのこと、そしてその先にいる顧客のことばかり考えているように思います。「そこまで自己を犠牲にするのか?」というくらいに必死に打ち込んでいる人々ばかりです。はっきり言って、割に合う仕事をしているようには見えません。でも、やり続けているのは、起業家には寝食を忘れて突き進んでしまう「パッション(情熱)」があるからでしょう。

 パッションは、とにかく人を突き動かすガソリンになります。起業家の人たちは、パッションが外にあふれ出ているように見えます。今年に入ってから、もう10回近くスタートアップ関連のイベントに参加して、たくさんの起業家とお会いしましたが、例外なくパッションに満ち溢れていました。

パッションは燃料、
それがなければ起業しない方がいい

「起業したいのですが…」と私に相談に来る若者は少なくありません。私自身は起業家ではないので、どちらかといえば「年長者としての客観的な意見がほしい」という感じで質問してくれているのでしょう。

 そういう若者に必ずする質問は、

「何をするのか、明確になっているか」
「事業のアイディアがあるとすれば、その事業のビジョンは何か」
「その事業は、どうやって人々を幸せにするのか」
「そのビジョンに向かって、何もかも投げ出してでも突き進むというパッションはあるか」

 という4点です。