膵臓がんの患者さんにしばしば共通する要因は、既に述べたように喫煙習慣、常習飲酒、糖尿病、肥満、ストレスフルな生活などです。これらは、言うまでもなく膵臓がんだけのリスクではありません。膵臓がんに限らず、がんや血管病の予防のためにもこれらの生活習慣を正すことが大切です。

 40歳を過ぎたら、毎年1回は腹部エコー検査やMRI検査を行うのがいいでしょう。科学的に実証はされていませんが、これらの検査を定期的に受けていたことで根治が可能なレベルで膵臓がんの治療を行えた患者さんを何人も診ています。検査でもしIPMNが発見されたら、半年から1年に1回はMRCP検査を受けるべきです。ただし、IPMNが必ずがんになるわけではないので、いたずらに恐れずに落ち着いて監視を続けるといいでしょう。

 万が一、膵臓がんに罹患してしまったらどう向き合いどのように対処すべきでしょうか。根治的な手術ができると判断されたら、躊躇なく手術を受けるべきです。手術ができるということは比較的早期に発見されたということで、手術を受けることでがん克服への確率を高めることができます。手術するリスクが大きい、もしくは病変が進行し過ぎたために手術ができない場合は、確かに予後は極めて厳しいものとなります。

 一方で、副作用が少なく効果が期待できる治療薬や治療法が日々開発されています。がんとの闘病は、言うまでもなくその人の生き方そのものでしょう。延命するための治療法しか残されていないと宣告されたら、落ち込まない人はいません。そのような話を患者さんにせざるを得ない時には、私は自身に身を置き換えることに努めています。

 同じ宣告を自分が受けたらどうするか。正解はすぐには見えません。しかし、死と向き合い自分の生き方を真剣に考えることで、何を大切にすべきかが浮かんでくるはずです。自分らしくどのように生きるべきか。健康な人であっても、誰もが死を常に背負って生きています。

 多くのがん患者さんの生き方を目にするたびに、生活管理をしっかりとする、ストレスをためない、万が一発病したら泰然自若としてベストを尽くす、そう自身に言い聞かせています。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)