ロンドン交響楽団の周年記念パーティーでチャールズ皇太子と同席
松田 ロンドン交響楽団の支援もされていましたよね。パーティーでチャールズ皇太子ともご一緒されたとか。
韓 ちょうど60周年のときに、後援会の会長がデイリーミラーのオーナーなんだけれども、その奥さんが韓国系だったこともあって相談を受けて、支援したんです。その記念パーティーで、チャールズ皇太子と同じテーブルに座らせてもらいました。カミラさんもいたな、写真は撮っちゃダメと言われたけど(笑)。
松田 そういった芸術に対する寄付を通じて、ネットワークが広がるのを感じられますか。
韓 自分が好きだからできるんですよ。嫌いだったらできません。支援すること自体がプラスになったことは僕はないと思う。音楽を楽しむことで、ただ自分の気分を休めたり頭を切り替えたりすることには役立ちました。事業が借金で苦しいときも、音楽を聴いたら忘れてしまって、新しい気分でスタートできる。活力の源やね。
松田 韓会長は、見返りを求めて支援をされているわけではないというのはよくわかりました。ただ、人数の多い楽団を永続的に維持して発展させていくために、日本の民間企業や政府がもっとできることもあるのではないかと、これは東京フィルに限った話ではなく感じることがあるのですが、いかがでしょうか。
韓 他社や政府のことはよくわかりません。ただ、日本の経済人は音楽に限らず、文化に対する応援をもっとしてもいいような気はしますね。
あとは、小さいうちからピアノやヴァイオリンを習って、音楽大学を出ても、音楽の仕事に就ける人は一握りですよね。仮にそういう仕事に就けても、食っていけない。私の知り合いでも、イタリアまで声楽の勉強に行ったけれども音楽の仕事では稼げないから、経験を活かしてイタリアのツアーコンダクターをやっている。そういう人が一杯いますから、なんとか救済する方法はないかな、とは思っているんです。
松田 一流になれるのはもちろん、十分な稼ぎを得られるようになれるのは一握りというのが現実ですものね。
韓 それはね、野球もそうだし、どんなプロでも同じですけれど、小さいころから努力して食えないという環境が、僕は非常に残念です。
僕の音楽葬のプロデュースをお願いしたい
韓 松田さんに今日、僕がお願いしたいことがあるんです。私が死んだら、音楽葬にしてもらいたいので、協力してください。彼(同席されていた広報担当者)に頼んであるから。
松田 そんな、会長まだお元気なのに!
韓 いやいや、準備はしておかないといけない。お坊さんを入れてお経を読むとか戒名とか、大嫌い。ソニーの大賀さんのときみたいなのがいい。あのとき感激しました。テープがあったから、これを参考に僕の音楽葬を企画するよう持たせているんだ。
松田 大賀さんもご存命でお元気だったときから「死んだら、東京フィルの音楽葬で、フォーレのレクイエムって決めてるから」と言われて、私たちもなんて返したらいいのかわからなかった、ということがありました。
韓 葬式自体いらないと思っているし、お坊さんの読経とか大嫌い。みんなが音楽を楽しめる音楽葬をしたいから、協力してくださいね。