ここから修の「難民」が始まります。ネットカフェに宿を求めつつ、ティッシュ配り、薬の治験のアルバイト、ホストなど、さまざまな仕事を転々とするようになるのですが、少し過剰な演出も含めて詳細はDVDでご覧いただくとして、こうした展開を見ると、生活を不安定にした原因が「住まい」だったことになります。

親の「解散宣言」で
ホームレスに

 実話をベースに2008年に製作された『ホームレス中学生』を見ても、社会保障政策としての住まいの重要性を認識します。

 映画の主人公は田村裕(小池徹平)。中学校から帰宅すると、家の玄関先に家具や荷物が全て家から運び出されている様子にビックリします。

 しかも、玄関には「差し押さえ」と書かれた張り紙が張られているだけでなく、家の鍵も取り換えられており、家の中に入れません。父親の借金で家が差し押さえられたのです。

 相次いで帰宅した姉の幸子(池脇千鶴)、兄の研一(西野亮廣)も事態がのみ込めず、やがて個性的な父の一朗(イッセー尾形)が帰って来るや、「厳しいとは思いますが、これからはおのおのが頑張って生きてください。はい、解散!そしたら元気でな」と一言。

 その瞬間、研一、幸子、裕の3人はホームレスとなり、裕は公園の滑り台で寝泊まりしたり、水を飲んで空腹を満たしたりして過ごします。

 結局、裕の同級生の親の川井夫妻(宇崎竜童、田中裕子)、民生委員の西村スミ子(いしだあゆみ)の善意と協力で家を借りることができ、曲がりなりにも3人は一緒に過ごせるようになるのですが、住まいが不安定になれば、仕事や学業も安定しない以上、住宅政策が社会保障政策の1つであることに気づかされます。

 実際、近年では住宅政策を社会保障の視点でとらえ直す動きがあります。例えば、住宅政策の国際比較を通じて、持ち家比率が高い国では福祉予算が少ない、言い換えると持ち家志向が強い国は住宅政策を社会保障として見なしていない傾向が指摘されています(ジム・ケメニー『ハウジングと福祉国家』)。