漫画『はたらく細胞』なら、本庶佑博士のノーベル賞受賞テーマも理解できる漫画『はたらく細胞』では、赤血球や白血球が「人間」として登場する(写真はイメージです) Photo:PIXTA
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【おとなの漫画評 vol.7】            
『はたらく細胞』清水茜
既刊5巻 2018年10月現在 講談社

『はたらく細胞BLACK』初嘉屋一生、原田重光原作、清水茜監修
既刊2巻 2018年10月現在 講談社

 コミックス(単行本)を店頭で見たとき、「はたらく自動車」のようなタイトルだから、おそらく細胞の機能をやさしく説明した小学生向けの教育漫画だろうと思っていた。しかし実際は、免疫系の細胞を擬人化した物語で、おとなが読んでも分子生物学の勉強になる。講談社の「月刊少年シリウス」で2015年3月号から連載しているそうだから、この雑誌の性格からしてSFファンタジー系の物語なのだ。

 細胞の擬人化はおそらくこれまでも漫画作品にあったような気がする。『火の鳥』のどこかで手塚治虫も細胞や遺伝子を擬人化していたかもしれない。

 しかし、本作に独自性があるのは、免疫系の細胞が人間そのものとして描かれている点だろう。擬人というより、人間そのものなのだ。ただし、姓名はない。細胞名だけである。

主人公は宅配便少女の「赤血球」
彼女の成長物語が軸に

 第1巻の冒頭から登場する赤い帽子とジャケットの宅配便少女が赤血球で、この物語の主人公の1人だ。このかわいらしい少女が酸素を運ぶ赤血球の機能を十分に発揮できるようになる成長物語が軸になっている。

 免疫系は、分子生物学と医学の主要な舞台でもあり、現実世界でも数々のドラマが生まれている。今年のノーベル賞受賞テーマもそうだ。