しかし、毎日のように小麦をとり続けることによって、ゾヌリンが分泌され続けると、この隙間があきっぱなしになってしまう。するとその隙間から、本来は入ってほしくないような有害物質やバクテリアまでもが入ってきてしまうのである。この現象はまず、「小腸の粘膜」で起きており、これが「腸もれ」=リーキーガットの状態なのだ。

 さらに、ゾヌリンの影響は腸だけにはとどまらない。血管に入ったゾヌリンは、血流にのって脳にまで到達するからだ。脳には本来、不要なものや危険なものは入らないようにする「血液脳関門」という関所のようなものがある。脳はとても重要な臓器であるため、必要なものだけを入れて脳を守るバリアのような存在だ。しかし、この「血液脳関門」も一枚岩ではなく、やはりつなぎ目はある。そのつなぎ目に、ゾヌリンが作用すると、関門があるにもかかわらず、そのゲートは開かれてしまうのだ。これは「リーキーブレイン(脳もれ)」の仕組みである。つまり、「腸もれ」が起きていると、血流にのって「脳もれ」にもつながってしまうということなのだ。

 極端なことをいえば、タイトジャンクションがゆるんでいても体内に有害なものが一切なければ問題はないだろう。しかし、食事、ストレスをはじめ現代は有害なものが身の回りにあふれている状況だ。そのような環境で、次から次へと有害なものが入ってくると、体内に免疫細胞があふれ、脳に炎症を起こしてしまう。そして、この炎症が一種の老化現象なのだ。脳内の炎症とアルツハイマーや、脳の炎症と認知機能の低下が深く関わっていることは、すでにいくつもの論文で明らかにされている。

 大切なのは、脳内の炎症を起こす前に何ができるか、あるいは、脳内の炎症を起こさないようにするには何ができるか、である。さらに、すでに脳もれを起こしてしまっている脳を、もれない脳にすることが重要だ。次回は、毎日の生活の中で脳に対してどのようないいことができるか、具体的に紹介していきたい。