固い企業の人だってふざけたい

藤原さん あんまりアフィリエイトのことは考えずに、好きな企画をやって人気を伸ばしてプロモーションでお金を稼ぐことが、いちばん「好きなことをやってお金にする」っていうことに近いのかなと思ってますね。

「YouTuber」はどうやって食べていってるのか?藤原麻里菜(ふじわら・まりな)
1993年、神奈川県横浜市生まれ。コンテンツクリエイター。文筆家/映像/工作。頭に浮かんだものをつくる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2016年、Google Japan主催のコンテスト、YouTubeNextUpに入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展――無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。25,000人以上の来場者を記録。東京藝術大学先端芸術表現(非常勤講師)他、eAT2018 in KANAZAWA、アドテック2016東京・大阪、つくれ!ムサコ@武蔵小山TASKOなどで登壇。他に展覧会実績として、2018年、frontyard EXHIBITION「無駄づくり」展、SNS展「もしもSNSがなかったら」(のん、菅本裕子、小山健、能町みね子、燃え殻、最果タヒ、塩谷舞他と共に)など。著書に『無駄なことを続けるために』(ヨシモトブックス)。

――プロモーションっていうのは、商品紹介?

藤原さん 依頼のされ方はそれぞれ変わるんですけど、「これを紹介してください」って、企業から依頼があることが多いです。

 私だと「ツイッターで『バーベキュー』ってつぶやかれたら藁人形に釘が刺さる」っていう作品があって。それは、ポータブルクーラーのクラウドファンディングのプロモーションとして制作しました。

 好きなこととプロモーションをうまくリンクさせれば、自分も好きなものをつくれるし、お金ももらえて最高です。

――藤原さんの発想もやばいですけど、GOを出すほうもやばいですね。

藤原さん ぜったいNG出されるだろうなと思って言ったら「あぁ、ぜんぜんいいっすよ」みたいな感じで、逆にびっくりしました。

「無駄づくり」を仕事にしてて思ったんですけど、会社の人たちもふざけたいんだな、っていう。会社勤めの人たちって「まじめな人が多い」って勝手なイメージを抱いてたんですけど、やっぱり自分とおんなじ「人間」だよなあと。

急に青汁を絶賛したらザワつかれる

――藤原さんのキャラもわかってお願いしてるから、無駄やふざけを期待してるんでしょうね。でも、ただの「フォロワー目当て」の案件もあったりするんですか?

藤原さん たまにあります。「この商品のポジティブな感想をツイートしてください」みたいな。でも、それってステマですし、もし私がそれをやったら、見てくれている人からの信頼がなくなっちゃいますよね。

 つぶやくだけでお金もらえたらすげぇいい仕事だなって思うんですけど(笑)。

――ちゃんとそこで踏みとどまるのえらいですね。

藤原さん いや、お金は欲しいですけどね。プロモーションとしての案件は、「無駄づくり」とリンクさせるようにしてます。

――記事だと「広告」って明示しますけど、YouTubeはそこまではっきり示さなくても?

藤原さん もちろん、YouTubeもプロモーションとして依頼を受けて動画を制作した場合は明示しなくてはならないです。

 それに、YouTubeの視聴者も結構みんな敏感になってますね。たとえば、商品紹介をよくするYouTuberの方が「この青汁おいしい」と言ってるのに提供が書いてないと、「これって商品紹介なのか自然に言ってるのか、どっちなの?」って思ってしまいますよね。

――法律的にどうこうっていうよりも……。

藤原さん 見てくれている人の信頼ですね。