このため、名目賃金は上昇傾向だ。実質賃金についても、当初は名目賃金の上昇が物価より遅れるために低下したが、最近では底を打ち反転・上昇傾向に転じている。

 今国会で議論されるべきは、外国人労働者を増やす入管法改正案が、その良好な雇用環境へどのように影響をもたらすかだ。それが問題なのだ。

 野党は、今回の改正が「移民政策」かどうかなどという的外れの質問はやめて、雇用環境がどうなるのかという本質的な問題を質問をすべきだ。

産業界の要請を鵜呑みでは
賃金上昇が台無しになる

 すでに現在の日本では、一定数の「外国人労働者」がいる。安倍政権になってから、「外国人労働者」も70万人から130万人へと60万人も増えた。

 130万人の内訳を見ると、雇用環境に影響を与えるといわれるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人だが、安倍政権でそれぞれ20万人、10万人程度増加した。

 新聞報道によると、政府がまとめた外国人労働者の受け入れ拡大の「たたき台」では、来年度から5年間で130万~135万人の労働者が不足し、約26万~34万人の受け入れを見込んでいる。

 来年度は約60万人の労働力不足に対し、最大約4.7万人の外国人労働者の受け入れを想定するという。

 2018骨太方針を決めたときは、2025年頃までに50万人の外国人受け入れといわれていた。さすがにこれは下方修正したが、それでも今後5年間で最大34万人を受け入れるようだ。

 しかし賃金の動向を見る限り、まだ本格的な人手不足とはほど遠いのではないか。

 政府の方針は、産業界から意向だけで話を進めているようだが、産業界の言う人手不足は、賃金を高くしないでほしいという願望でしかない。

 賃金の上昇をさせないように、もし政府方針とおりに外国人労働者を受けれたら、アベノミクスの成果である雇用の創出や一部での賃金上昇を台無しにするだろう。