認知的複雑性の低い人に、商品や提案のメリットとデメリットを丁寧に説明するとしよう。相手は

「それじゃ良いのか悪いのかわからないじゃないか。あんた、本当に売る気あるのか?」
「そんなふうにゴチャゴチャ言われたら、こっちは判断できないじゃないか」
「それを導入するのがいいのかよくないのか、いったいどっちなんだ」

 というように、苛立った反応になりがちだ。頭の中で情報が錯綜するため認知処理ができなくなってしまうのである。

 このような人には複雑な説明はせず、メリットのみをわかりやすく説明する一面的説得法を用いるのが効果的だ。

 だが逆に、認知的複雑性の高い人に、商品や提案のメリットばかりを説明すると、

「そんな良いことずくめなことなどあるわけない」
「何だか胡散臭いな」

 と疑われ、信用してもらえない。

 このような人にはメリットだけでなくデメリットも説明しつつ、総合的観点から購入や導入を勧めるといった両面的説得法を用いるのが効果的となる。

「多様性」という言葉がはやっている。だが、「多様性が必要だ」と主張する人たちが、自分たちの立場を絶対化して異論を封じようと必死になっている姿を見ると、認知的複雑性が低いといわざるを得ない。

認知的複雑性が低いと、
感情的な揉め事が多い職場になる

 派閥抗争のような大げさな話でなくても、職場の仲間に嫉妬した人が、

「あの人、さっき課長に取り入るようなこと言ってたよ、見苦しいよね」

 と口にしたのに対して、

「そうなんだ、そんな人だったのか」

 とすぐに信じ込んでしまう人がいる。

「○○さんが、あなたのこと、不満そうな口調で噂していたよ」

 と同僚から言われたら、誰だっていい気持ちはしないし、気になってしまうものだ。

 そんな時、認知的複雑性が高ければ、

「あの人がそんなことを言うだろうか」
「まあ、何か嫌なことがあってイライラしていて、つい不満を口にしただけかも」
「この人の勘違いかも」
「この人、○○さんのことを嫌いなんじゃないかな」

 などと、複眼的にこの出来事を受け止めることができる。