ちなみに、昨年1年間では特殊詐欺の認知件数は18,212件にのぼり、被害総額は394.7億円にもなる。この数字を見れば、日本における詐欺事件の規模がいかに大きいかだけでなく、日本人がどれほど多くの詐欺事件に巻き込まれているかも理解できるだろう。

合法的な詐欺は行われていないか

 刑事事件における詐欺事件を取り上げたが、もはや詐欺ではないかと思われるようなことが、合法的に行われているケースもある。実例のため、具体名は伏せるが、数年前に筆者の祖母の元へ、ある金融機関の営業員が金融商品の紹介に来たそうだ。投資や資産運用とは一切縁のなかった祖母が急に金融商品の話をし始めたので驚いた。話を聞いてみると、新興国の債券に投資する投資信託を勧められたそうだが、年率換算した利回りが10%を超えると説明されたらしい。銀行に預けていてもほとんど利子もつかない。多少のリスクを取っても年率10%の配当がもらえるならいいのではないかと思ったようだ。

 筆者は、金融機関での勤務経験が長くあり、金融機関が嘘をついてまで金融商品を勧めたりはしないことは理解している。手数料を稼ぐためにそこまでリスクの高い行為はしないのだ。しかし、祖母から聞いたこの話が全て正確なのであれば、詐欺に近い行為だと感じてしまう。なぜなら、知識のないものが聞いたら勘違いをするような説明をしているからだ。

毎月分配型投資信託の罠

 今でこそブームは終わったと言えるが、数年前まで日本では毎月分配型の投資信託が異常に売れていた。筆者の祖母が勧められた金融商品も毎月分配型の投資信託だった。これについて簡単に説明すると、投資信託の分配金には運用益を原資とする「普通分配金」と、元本を取り崩して分配する「特別分配金」がある。投資信託を運用する資産運用会社は普通配当金と元本払戻金を合算したものを分配金として公表していた。そうすると、実際に運用がうまくいって配当金が分配されているのか、それとも単純に元本を取り崩されているだけなのかが分かりにくい。

 これには、さすがに金融庁も問題があると感じており、「平成27事務年度 金融レポート」の中で、「顧客の運用方針にかかわらず、販売会社は、主として収益分配頻度の高い商品を提案している」と指摘し、翌年には「平成28事務年度 金融レポート」において、毎月分配型の投資信託が我が国の投資信託の残高の過半を占める中、顧客ニーズを十分に確認しない販売が行われている可能性について指摘した。