いずれも、一般的には少しきつい物言いに聞こえるかもしれない。しかし、東海林氏は「ストレートに伝えた方が正しく伝わる。ただし冷静に。怒ることは効果的ではありません」と指摘する。

 発達障害の傾向のある部下を持つことで、つらく感じることもあるだろう。「一般的なセミナーでは、『相手の振る舞いをありのままに受け止め、温かい目で受け入れなさい』と言われることもあるが、一緒に仕事をするのだから、そこまで無理して全部を受け入れる必要はない。お互いに不幸になる」と東海林氏は言い、大切なのは伝え方だと断言する。先ほどの言葉掛けのコツを用いて、明確に伝わるように指示を出したり、適切にフィードバックしたりすることが大切なのである。

 「自分の部署で戦力にしてあげなくては」と頑張る上司もいるが、「今の業務が合っていないように感じたら、適したポジションに変えてあげるのも一つの解決策」(東海林氏)だという。発達障害のある人で、管理部門から営業部門に異動して花開くケースもある。その人に合った配慮を、一緒に考えていくようにしたい。

Illustration by Maiko Yamamoto