
今のマンション売買相場の実情を誰よりもよく知るマンションインフルエンサーたちが、カオス相場の裏と今後を語り尽くす座談会の下編。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#19は、気になる今後の新築マンションの開発の行方。業界事情を勘案すると、都内でももう新築が供給されないエリアが出てくるとか!?(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
●のらえもん @Tokyo_of_Tokyo
マンションインフルエンサー、マンションアナリスト
●稲垣ヨシクニ @inagaki_kizuna
都心マンションソムリエ
●中央区上落合 @Kamiochiai_Chuo
不動産業界とは無関係な素人。3000万~6000万円台のマンションが主戦場
●芝崎健一 @shibasan_towerz
タワーマンション専門TOWERZ取締役 YouTube「芝塾タワマン不動産」運営
●デベマン
マンションデベロッパーの中の人。開発担当
「都心および一等立地にしか新築は建たず
新築に住める人は超富裕層」という世界が来るのかも
――建設費の高騰は、今後新築が出てくるエリアに影響を与えそうです。
デベマン デベロッパー各社が供給戸数を絞っているのは明らかです。少し先の話にはなるでしょうけど、港区全域と中央区、中央線や東横線などの人気路線から外れてくる所に関しては供給ができなくなる可能性はある。今仕込んでる大規模系や建て替え系でもう採算が合わないものも結構ある。土地を買うチームもかなり厳選して買いにいっていますし、みんなつらそう。
のらえもん(のら) 物件価格も管理費・修繕積立金も値上がりは必至。従来の修繕積立金では、満足な工事ができなくなる。「マンションを買う」のではなく「値上げしても付いてこれる住民層を買う」ことが必要になる。板状マンションだと管理費と修繕積立金合わせて70平方メートルで4.2万~4.9万円、タワマンだと7万円を払える住民がいるところを買った方がいい、といわれてますね。
稲垣 「ピーク時には約10万戸あった首都圏新築マンション供給戸数が2万戸を切りそうなくらい落ち込んだ」と2024年は話題になりましたけど、今後これが年間1万戸を切ってくる未来もあると思う。都心および一等立地にしか新築は建たず、新築に住める人は超富裕層、という世界が来るのかも。
新築マンションの1戸当たり建設コストは坪単価で300万円いくので、これに土地と広告費を入れたら坪単価400万円を下回るものは造れない。となると70平方メートルで8400万円。世帯収入で1400万円、共働きとして1人年収700万円以上の人が住むエリアにしか新築が建たなくなる計算ですよね。
この考え方をベースに試算をしてみたのですが、23区内ですら新築がもう建たないエリアも出てきそうです。
――大変なことになりそうです。次ページから詳しく見ていきましょう!また、大阪、福岡、札幌その他地方の状況や、これからマンションをいかに「負けずに」買えるかについてもお伺いしたいです。