またしても、高校野球指導者による「体罰」という名の暴力が表面化した。名古屋経済大高蔵高(名古屋市)で、硬式野球部監督が部員に暴行しけがをさせた。この監督は、元プロ野球選手。その後は一般企業に入社し、教員免許を取得して教諭になった苦労人として知られる。高校野球に限ったことではないが、部活動でなぜ指導者による暴力はなくならないのか。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
プロ野球から教員に転じた苦労人なのに
まず、監督による暴力はどんなものだったのだろうか。
地元のテレビ局が「視聴者提供」として放送した映像によると、9日午後6時ごろ、監督が1人の部員に近寄って胸付近を蹴り、さらに2発平手打ちをした。今度は別の部員に2発平手打ちをした後、同様に腹を蹴った。さらに別の部員の腹を蹴った後、立て続けに複数の部員を殴ったり蹴ったりしていた。
映像には、“鉄拳制裁”などという生易しいものではなく、もはやキレて暴れまくっているとしか表現できない様子が映し出されていた。
この監督は、一時は近鉄のエース級として活躍し、引退後も「苦労人」として知られる存在だ。
関東一高(東京都)時代は控え投手だったが、東都大学野球連盟の国学院大に進学。3年生の時、2部リーグで優勝し、1部昇格を果たした。1部リーグでは18試合に登板し4勝9敗、防御率3.80をマークした。
1993年、ドラフト1位で近鉄に入団。1994年6月に1軍初登板、7月には初先発し、6回2失点で初勝利を挙げた。1995年は先発・中継ぎとして1軍に定着。9月には初完投勝利を記録した。