アスタキサンチンを
多く含むサケやイクラ
アスタキサンチンというサケの切り身やイクラやエビなどに多く含まれている赤色の色素があります。アスタキサンチンは動植物界に広く分布していて、黄橙、赤、赤紫などの色素のカロテノイドです。この色素は活性酸素の害を防ぐ抗酸化作用が強くて、悪玉酸素エネルギーを熱に変えているのです。アスタキサンチンはビタミンEなどに比べても1000倍近い抗酸化作用があります。
アスタキサンチンは同時に筋肉の弛緩作用もあり、目の調節に関与する毛様体筋の疲労を防ぎ、遠近の識別に使う深視力(遠近を識別する視力)検査でも視機能向上が認められています。簡単に言うと、目の疲労回復に効果的であるということです。
さらに、近年増加している糖尿病にも効果があるとの報告があります。糖尿病の3大合併症は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性下肢壊疽です。このうち眼科でよく診るのが網膜症であり、腎症です。網膜症は失明につながる大きな病気ですし、腎症も網膜に浮腫をきたすなど視機能に関連する大きな問題です。この両者に効果が認められたとの報告もあるのです。
アスタキサンチンを多く含む食料には以下のものがあります。100gあたり、桜エビ7.0mg、オキアミ3.0mg~4.0mg、紅鮭2.5mg~3.7mg、イクラ2.5mg~3.0mg、金目鯛2.0mg~3.0mg、ギン鮭2.3mg、毛ガニ1.1mg、甘エビ0.8mg~1.0mg、キングサーモン0.9mg、白鮭0.3mg~0.8mg、すじこ0.8mg。
ここでサケのアスタキサンチンを考えましょう。サケの色素のもとはサケが食べる藻から得られているのです。サケが食べた藻の中の赤色色素が体内に蓄積したのです。この藻に大切なのが、抗酸化作用もあるDHAやEPAといった、魚に含まれる脂質でこの藻はヘマトコッカスという藻です。サケは成魚となって海から川に戻り、川を遡上します。
遡上の川は浅瀬があり、強烈な太陽光で紫外線などにさらされます。体を岩にこすりつけ、皮膚も体もボロボロになります。この時に体には細胞修復のために悪玉酸素である活性酸素が大量に発生します。この活性酸素を中和消去する抗酸化作用のあるものとしてアスタキサンチンが活躍するのです。