NISAや、個人向けの確定拠出年金(iDeCo)、さらに、会社で加入する企業型の確定拠出年金(企業型DCなどと言います)など、自分で、お金を運用(育てる)ための制度が多くなってきました。
その制度を利用するときには、必ず「投資信託」という商品が入っています。この投資信託(とうししんたく)とはいったいどんなものなのでしょうか?
『新・投資信託にだまされるな!』や、『税金がタダになる、おトクな「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』など著者累計45万部、大ベストセラーの著書がある竹川美奈子さんが、5年ぶりに改訂した『改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門』を上梓。
連載では、この新刊から、本当に良い投資信託をえらぶコツをご紹介します!

信託財産留保額は、解約するときにかかる迷惑料

投資信託の主なコストは2つです。
第16回は、そのうちの1つ、運用管理費用(信託報酬)について、また前回の第18回は、購入時手数料について説明しました。

今回は、信託財産留保額についてです。

信託財産留保額は、投信を解約するときにかかる迷惑料のようなもの。「信託財産留保額」がかかる投信もあれば、かからないものもあります。高い投信でも0.5%程度です(消費税はかかりません)。

「信託財産留保額」は解約するときに支払うペナルティーのようなもので、信託財産に戻されて基準価額にも反映されます。投信を解約する人がいると、株や債券の一部を売って現金化してお金を渡す必要があります。その際にかかる手数料を投信保有者が負担するのは不公平ですよね。そこで、解約する人が投信を保有する人たちに対して、“迷惑料”として信託財産留保額を支払うというわけです。逆にいえば、信託財産留保額がない投信は、解約する人の費用を負担するのは、投信の保有者ということになります。

信託財産留保額もコストのひとつなので、ないほうがよいと考える方もいますが、

・信託財産留保額は販売会社や運用会社に支払う手数料ではないこと
・解約する人の費用を、全面的に投信の保有者が負担するのは不公平なので、解約する人にもきちんと負担してもらいましょう、という意味合いがあること
は覚えておきましょう。

ひと口にコストといっても、誰に(どこに)、どういう目的で支払っているのかは押さえておきたいところです。最近は解約時に「信託財産留保額」をとらない投信もふえていますが、長期保有者にとってよいことなのかは疑問です。