2018年12月15日号の週刊ダイヤモンド第一特集は「日産 最悪シナリオ」です。日産を19年間率いたカルロス・ゴーン氏が11月19日、東京地検特捜部に逮捕され、日産経営陣はすぐに同氏を会長職から解任しました。自動車産業を牽引したカリスマ経営者の失脚に、世界中の視線が注がれています。そんな中、逮捕に至る過程でもっとも注目された経営トップと従業員の年収格差について、特集では詳細に分析。中には、その差が1000倍を優に超えることもあります。日本の現状を製造業に絞って分析してみました。
361倍。これはAFL・CIO(米労働総同盟産別会議)が今年5月に発表したS&P500対象企業のCEO(最高経営責任者)の年間報酬額と生産部門の平均的な従業員の年間給与の格差だ。CEOの年収平均が1394万ドルなのに対し、従業員はわずか3万8613ドルだ。
一方、日本企業の経営者と従業員の年収格差はいかほどのものなのか。自動車メーカー同様に国際競争にさらされている製造業の上場企業を対象に、有価証券報告書に記載されている取締役(社外取締役を除く)、執行役の報酬総額(退職金を含む)から役員1人当たりの平均年間報酬額を算出、従業員の平均年間給与で割り、年収倍率を算出した。なお、1億円以上の高額報酬を受け取っている取締役または執行役がおり、報酬額の個別開示がある企業に限定した。
上位は電機、医薬品、自動車など、製造業の中でも他国とより熾烈な競争をしている業種が占めた。