「暴走上司」の間違いを食い止めるリスク回避法ヤリ手上司が会議で暴走していないだろうか?異論を封じる同調圧力を排除しなければ、おかしいと思う提案でも通ってしまう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日産自動車のゴーン前会長の不正疑惑が連日報道されているが、あなたの会社にも「暴走上司」はいないだろうか。仕事の手続きが煩雑になった、効率が落ちた、おかしな提案が通ってしまうなど、暴走上司の悪影響は計り知れない。彼らを止めるにはどうすればいいのだろうか。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)

 日産自動車のゴーン前会長の逮捕は衝撃だっただろう。報道を見ていると、会社再建の最大の功労者とはいえ、私利私欲の面だけでなく、経営者として、コストカットに徹する姿勢とか、社内での強引な物事の進め方など、疑問に思われる面もいろいろと出てきた。

 私利私欲の面はここではさておき、皆さんの職場でも経営者に限らず、その部署の中心人物の暴走によって組織を牛耳られてしまい、仕事の進め方や組織の方針などで悩まされているビジネスパーソンも少なくないだろう。

 そこで、今回はそんな上司の暴走を止めるために、どんな方法が有効なのか、以下、事例を見ながら考えてみよう。

どんな組織にも
生息する「暴走上司」

 中堅食品卸会社で経理課長を務めているAさんは、B営業部長のワンマンぶりが目に余るのに、誰も注意できる人がいなくて困っているという。

 強面でかなり強引なところがあるB部長は、何かと声を荒らげて自分の意見を通そうとする。一方で、人なつっこい面もあるため、すぐに相手の懐に飛び込むことができ、取引先にはすこぶる受けがいい。また豪快なところもあるので、「この人なら何とかしてくれる」といった期待が高まり、取引先から頼りにされているようなのだ。そのため、課長当時から営業手腕を発揮して業績を上げ、多くの取引先との強いパイプを築いてきた。