米軍がとうとうシリア撤退
ロシアとの代理戦争の結末は?

 12月、もう1つ大きな「戦略的できごと」があった。米軍が「シリアから撤退する」というのだ。

<米軍、シリア撤退開始…「イスラム国」掃討メド

読売新聞 12/20(木) 0:41配信
【ワシントン=海谷道隆】米ホワイトハウスのサンダース報道官は19日、シリアに展開する米軍が撤退を始めていると明らかにした。
イスラム過激派組織「イスラム国」の掃討任務にメドがついたためとしている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などによると、撤退は全面的なものになるという。>

 これがなぜ「戦略的出来事」なのだろうか?

 2011年に始まった「シリア内戦」は、「ただの内戦」ではない。これは、米国とロシアの「代理戦争」だ。具体的にいうと、ロシアとイランは、アサド現政権を支援。米国、欧州、サウジアラビア、トルコなどは、「反アサド派」を支援している。

 劣勢に見えたアサドは意外にも生き残り、反アサド派、「イスラム国」(IS)を掃討。ほぼ全土の支配権を回復するようになっている。

 アサドがサバイバルできた理由は2つある。1つは、ロシア、イランからの支援があったこと。そして、もう1つは、米国に気合が足りなかったことだ。

 2010年代に入り、シェール革命が進展。米国は、世界一の産油国、産ガス国になった。そのため、(資源がたっぷりある)中東の重要性が薄れた。オバマは最初からシリア介入に消極的で、2013年9月には「シリア戦争」を「ドタキャン」して世界を驚かせた。

 その後、「反アサド派」から分裂した「IS」が暴れ出したことから、イヤイヤながら2014年、シリア(IS)空爆に踏み切った。しかし「IS」は、依然として「反アサド」でもあるので、空爆に気合が入らない。

 ISが衰退したのは2015年9月、プーチン・ロシアが参戦してきてからだ。彼の目的は、「アサドを守ること」なので、容赦なくIS、特に彼らの収入源である石油インフラを攻撃した。結果、ISは衰退し、アサド派は、ほぼ全土の支配権を取り戻したのだ。