米議会で民主党が「国境の壁」建設費57億ドル(約6300億円)の拠出を拒否しているため、ドナルド・トランプ大統領は国家の非常事態を宣言する可能性に言及している。大統領がその権限を持つというトランプ氏の主張は恐らく正しいだろう。しかしそれは、三権分立を強く支持する保守派にとって、いずれ後悔する悪しき前例をつくることになる。トランプ氏は非常事態を宣言することで、議会が支出を認めた軍の建設予算を壁建設に振り向けられるかもしれない。トランプ氏は10日の国境地帯訪問に先立ち、民主党との協議がうまく行かなければ「恐らくそれを実行するだろう。ほとんど絶対と言ってもいい」と警告した。非常事態宣言を出せば、トランプ氏はナンシー・ペロシ下院議長に少しも譲ることなく政府機関の一部閉鎖を終わらせることができる。しかしそれは、トランプ氏の行政権限の限界を試練にさらすことになる。
【社説】トランプ氏の非常事態宣言は悪しき先例に
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