30代で昇進した横綱は短命
数字に表れる相撲界の厳しさ

稀勢の里引退…大相撲で世代交代が進みつつある
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 稀勢の里の引退は、改めて最高位横綱の厳しさをファンに思い知らせた。

 当然ではあるが、若い伸び盛りの時期に勢いに乗って昇進した横綱は総じて在位期間は長く、優勝回数も多い。横綱になってからの優勝回数順に、その昇進年齢を記すと、白鵬(38回)は22歳、大鵬(29回)は21歳、千代の富士(29回)は26歳、朝青龍(23回)は22歳、北の湖(22回)は21歳、貴乃花(15回)は22歳、輪島(12回)は25歳だ。20代前半が大半で、遅くても20代半ばで昇進している。

 だが、チャンスをなかなかものにできず、苦労に苦労を重ねて30代に入ってから昇進した横綱は在位期間は短く優勝回数も少ない。戦後の横綱で最も在位期間が短い(8場所)琴桜は32歳、三重ノ海は31歳で昇進した。

 横綱は力士なら誰もが目指す栄光の座だが、その一方で勝てなくなれば引退するしかない厳しい立場だ。若いうちに横綱になれば、そんなことも考えず思う存分実力を発揮できるだろうが、30代なら衰えも感じているはずで、横綱の責務を果たせるかという不安を抱えながら相撲をとることになる。

 稀勢の里はその典型だった。15歳で入門した時から大器と期待され、17歳9ヵ月で十両昇進、18歳3ヵ月で新入幕。これは横綱貴乃花に次ぐ年少記録だ。その後も順調に番付を上げたが、横綱昇進だけはあと一歩のところで逃し続けた。そしてやっとのことで昇進を果たしたのは30歳の時。19年ぶりの日本出身横綱誕生ということで世間は沸き、これまでの横綱にはない余計な責任感も背負わされてしまった。