それよりも、試合結果に加えて選手のインタビューやライバルの試合結果など、バラエティーに富んだ記事を表示してくれた方が、ユーザーにとってはありがたい。

 ここで登場するのが、AIに記事の“意味”を理解させ、内容が重複している記事を取り除く機能である。このためにヤフーが活用しているのが、「トリプレットロス関数」という数式だ。

 AIに文章の意味を理解させるためには、一般的にはベクトル表現やその内積を使う。この数式はその手法に一工夫して、記事本文に加えてカテゴリー情報も活用することで、AIの記事理解の精度を高めているのだという。

 2015年末にこうした機能などを導入したところ、ユーザーの滞在時間が6.9%増加。スマホでヤフーを見るたびに、この数式が裏側で働き、あなたのための記事を表示しているのだ。

 ヤフーの屋台骨を支えるこの数式を編み出したのは、若手データエンジニアの大倉俊平さん。数学科出身で12年入社の大倉さんのプログラミング能力が本格的に伸びたのは入社後だというが、わずか3年で大仕事を成し遂げ、“エース級”の人材へと成長した。

「尖ったものを作ろうとしたときに、プログラミングと数学理論の両方を理解できることは、大きな強みになる。プログラマーが数学を学ぶよりも、数学者がプログラムを覚えた方が早い」(田島玲・ヤフージャパン研究所所長)

 重複記事の排除のほかにも、ヤフーは数学を活用して新たな機能を追加している。その一つが18年2月に始めた「異常混雑予報」というサービスだ。乗り換え案内の検索データを基に混雑の“予兆”をキャッチするのだが、これを可能にするのも「時系列解析」という数学を活用した手法だ。