ダンゴムシの形の再現に苦心
失敗を重ねてやっと商品化へ

 商品化できれば売れると感じながらも「最大の難関は、社内で企画を通すことだとわかっていました」と、誉田氏は話す。

「ザクヘッドにはガンダムシリーズという大看板があり、ある程度の数字が見込めます。しかし、ダンゴムシはもちろんノンキャラクターで、数字はまったく見えない。またクオリティーが高いものを世に出したかったので1個500円で12万個以上売らなければ、赤字になる可能性もあります。数字の面で難色を示されるのは想像できましたね」

 ちなみに、500円カプセルで12万個という数字はガンダムなどのS級キャラクターのカプセルトイ商品に匹敵する売れ行きだという。ノンキャラクターにとって、なかなかにハードな目標設定だ。

トライアンドエラーを繰り返して誕生した「だんごむし」第1弾。自販機から出せるサイズに直径を設定したところ、偶然にも実際のダンゴムシの1000%大の実寸になったという

「企画書だけでは却下になる可能性が高かったので、秘密裏に試作品を作り、実物を見せながらプレゼンすることにしました。さまざまな文献や図鑑で研究を重ね、中国の工場に設計図を送って試作品を作ってもらっては作り直す、という毎日。通常業務の合間に『だんごむし』の製作に取り組んでいましたね」

 試作品の中には「広げると平らになってしまうダンゴムシ」や「理想の倍以上の大きさになったダンゴムシ」など、さまざまな失敗を重ねたと誉田氏は当時を振り返る。

「特に苦労したのは、丸まったときの形状です。丸めると中心に隙間ができてしまうのが最大の懸案事項でした。微調整を重ね、最終的には殻と体節、脚の素材をすべて変えて、実際のダンゴムシと同様に殻の大きさもそれぞれバラバラにすることで“丸まったダンゴムシ”を再現することができました。ダンゴムシの形を再現するのは、本当に大変な作業でしたね」

 誉田氏がこだわったかいもあり、試作品を携えた社内プレゼンは見事に成功。2018年8月、着想から約2年の月日を経て、世界初のガシャポン「だんごむし」が発売されたのだ。