年上部下と年下上司が
お互いに気持ちよく働く方法
小宮コンサルタンツ代表
日本型経営の特徴だった年功序列、終身雇用のうち、年功序列は急速に実力主義へと変わりつつあります。これに伴って年齢にかかわらず実力がある者が役職に就くようになり、先輩を部下に持つ、後輩が上司になる光景も珍しくなくなりました。
先輩を追い越して昇進した者(年上部下を持った年下上司)が心得ておくべきことして私がよく話すのは、「実力があるからといって偉そうな態度を取るな」ということです。上司という“仕事”は、部下に動いてもらって「なんぼ」です。年上部下にも気持ちよく動いてもらう状況をつくらなければなりません。
また、追い越された先輩の方も、社内では彼らがいくら年下でも上司として接しなければなりません。心中穏やかではないかもしれませんが、それが会社という組織で働くことなのです。いままでは「君」付けで呼んでいても、立場が変われば「さん」付けで呼ばなければなりません。
創業家が代々経営を引き継ぐ中小企業の経営者の場合、社長が交代して二代目、三代目になると、幹部のほとんどが年上という例が珍しくありません。だからといって社長が幹部に言うべきことは言わなければなりませんが、ものには言い方があり、年上には敬意を払い、「礼」を失してはいけません。
経営コンサルタントの仕事をしていると、若い社長が先代から仕えている幹部に対して上から目線で指示を出す場面に出くわすことがあります。その時は、社長と2人になったタイミングを見計らい、「親が社長でなくても、あなたは社長になれたのか」と自問自答するようアドバイスします。