書籍、家電、文房具・オフィス用品、ホーム&キッチン用品、ドラッグ、食品、ファッションなどありとあらゆる分野で豊富な品揃えを誇り、圧倒的な物流網でどこにでも素早く品物を届けるアマゾンで物を手に入れたい人は、日本中にいる。その人たちは総額100億円ものアマゾンのギフト券を配布してくれるというなら、喜んでどんどん「寄付」をしてくれるだろう。実際、泉佐野市のホームページは、キャンペーン開始とともにアクセスが殺到している。

 これは、7968億ドル(約86兆6000億円)という世界一の時価総額を誇る巨大企業・アマゾンを利用して資金調達しようということだ。強いていえば、日本国内という枠を超えて、世界最大の多国籍企業体をうまく「活用」することで、巨額の寄付を得ようとしているわけだ。

「地方自治体が特産品をお返しに、ささやかに寄付を集める」という「ふるさと納税」の想定をはるかに超えた、柔軟でスケールの大きな発想に基づく資金調達法とみなすべきではないだろうか。

中央主導による「地方分権の推進」は
「建前」に過ぎず、完全に失敗した

 私は、安倍政権の地方分権政策は、はっきりいって失敗だと思う。政権の目玉政策の1つである「地方創生」の成功例は少ない。むしろ、逆に「地方創生策」によって衰退した地方が多いのではないだろうか。

「地方創生」については、石破茂元自民党幹事長が地方創生担当大臣に就任し(本連載第89回・P.6)、2014年9月に内閣府に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されてスタートした。2015年度から「地方創生先行型交付金」1700億円と、「地域消費喚起・生活支援型交付金」2500億円を、地方公共団体に対して毎年交付してきた。

 中央政府は、各自治体に対して地方創生のビジョンと総合戦略の策定を求め、2015年10月までに策定した場合、先行型交付金を上乗せすると発表した。その結果、全ての都道府県と99%を超える市町村が人口ビジョンと総合戦略を策定した。加えて、総合戦略の中で、より先駆的な事業を行う自治体には補助金がさらに上乗せされることも決定された。

 一見、「地方分権」が進んでいるように見える。具体的な計画を策定するのが自治体であって中央政府ではないからだ。だが、その計画を審査して、予算を出すかどうかを決めるのは、あくまで中央政府である。