さらに、働き方改革の旗印のもと、残業時間の削減に多くの企業が取り組んでいる中で、若手は就業時間ギリギリまで業務に追われ、その後に自分の時間を削ってまで報連相を一生懸命行おうという気持ちになるでしょうか。

 残念ながら、これまでの「当たり前」はもう当たり前ではなくなりつつあります。今後労働人口がさらに減少し続ける中で、優秀な若手社員に活躍してもらうためには、まず上司と部下のコミュニケーションのあり方を一から見直す必要があります。その1つの有効な手法として、1on1ミーティングに注目が集まっているのです。

ヤフーが注力している
「経験学習」による学び

 1on1ミーティングに積極的に取り組んでいる企業として、ヤフーがよく知られています。しかも、ヤフーでは、「毎週30分を部下との 1on1ミーティングに割く」といわれています。

 これは私が知る中でも、非常に多くの時間を1on1 ミーティングに費やしている企業といえます。頻度や時間は、1on1ミーティングの目的によって変わってきますが、それにしても1週間に30分という頻度は、例えば部下が10人いる上司なら、1週間のうち実に半日以上を1on1ミーティングに割くということ。それだけ、上司と部下とのコミュニケーションに重きが置かれているわけです。特にITサービス業界では、若手社員も多く、退職率も一般的な日本企業よりも高いため、社員と上司との関係性が非常に重要になることは理にかなっているといえます。

 さらに、ヤフーが1on1ミーティングに取り組んだ理由の1つに、社員育成にあたり、「経験学習を促進したい」という考えがあります。「経験学習」とは、実際に仕事や日々の業務を通じての経験から学ぶことで、研修や座学による学びと対比される学習方法と考えられています。

 皆さんは、人材育成における、「7:2:1の法則」をご存じでしょうか。米国のロミンガー社の調査結果に基づく有名な考え方で、世界の多くの企業で採用されています。人材育成にとって重要なことは、「7割=仕事の経験からの学び」「2割=上司や顧客など他者からの学び」「1割=研修や書籍からの学び」という考え方で、実際には座学で獲得した知識も、仕事で使い、経験を重ねることで初めて学びになるといわれています。

 しかし、ヤフーの「経験学習」はさらにもう一歩踏み込んでいます。「単に経験するだけでは、すぐに通り過ぎて忘れてしまう。“経験”を“振り返る”ことで初めて学びとして定着するのではないか」と考えたのです。