獲得した知識を実際の仕事の中で経験し、そして上司との1on1ミーティングを通じて経験からの学びを言語化して語り、振り返る。この一連のプロセスによって、知識が学びとして定着し、自分のスキルとなって別の機会に応用して使えたり、人に教えたりすることができるようになります。

 この「振り返り作業」を「リフレクション」といいます。リフレクションは、必ずしも1on1ミーティングという形だけではなく、チームによるディスカッションや、個人によるメモでも十分な場合もありますが、経験したことを言語化し、抽象化して論理的に整理するプロセスが重要なため、実際に会話によって振り返りを行う1on1ミーティングは非常に有効な手段であるといえます。

間違った1on1ミーティングでは、
管理職の時間ばかりが奪われてしまう

 しかし、1on1ミーティングの導入には皆が賛成というわけではないでしょう。ヤフーでも、「どんな効果があるのか」といった質問や「そんなことに時間を使えない」といった現場の管理職からの反発があったといいます。

 1on1ミーティングは確かに現場の管理職の時間を新たに費やすことになります。よって、効果を最大限得られるようにするには、いくつか工夫が必要です。

 例えば、皆さんの職場では、1人の上司に20人や30人もの部下がついていませんか。前述したとおり、1on1ミーティングの頻度にもよりますが、例えば、30人の部下と1ヵ月に一度、1時間の1on1ミーティングをするなら、準備も含めて考えれば上司は毎月ほぼ1週間を1on1ミーティングに費やすことになります。もちろん上司にとって重要な時間ではありますが、これでは業務が回らない状況に陥るでしょう。

 そこで、本当に1on1ミーティングを効果あるものにするには、「1人の管理職が管理する部下の人数をおおむね10人までに抑える」ことが有効です。

 これを、「Span of Control」といいます。Span of Controlを考慮せずに1on1ミーティングを導入してしまうと、結局のところ、上司と部下との丁寧なコミュニケーションは阻害され、ただでさえ忙しい管理職をさらに追い詰めることにもなります。組織の変更が難しい場合は、1on1ミーティングを行う役割としての“リーダー”を作り、1人が行う1on1ミーティングの相手を10人程度にします。

 さらに、1on1ミーティングを「単に上司と部下とが話す場」という位置づけにしてしまうと、本来の目的からそれた会話がばかりが交わされます。何の準備もなく「最近どう?」といった抽象的な問いかけをしたところで、若手社員の本音を聞き出したり、部下の特定の経験を学びにつなげたりは到底できません。