がん患者の地域差
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 先月16日、厚生労働省から2016年の「全国がん登録」の結果が報告された。

 同年に施行された「がん登録推進法」に基づき、国主導でがん患者をデータベース化したもので、初の集計結果となる。

 性別不詳を含め、16年に新たにがんと診断された患者は99万5132例(男性56万6575例、女性42万8499例)だった。

 臓器別の男性1位は、胃(16.4%)、前立腺(15.8%)、大腸(15.8%)、肺(14.8%)、肝臓(5.0%)が続いた。女性は乳房(22.1%)、大腸(16.0%)、胃(9.8%)、肺(9.7%)、子宮(6.6%)だった。

 興味深いのは、同じ日本国内でも罹患率(がんになる割合)に地域差があることだ。男女の年齢調整罹患率のトップは長崎県で、人口10万人当たり454.9、次いで秋田県が446.3、香川県436.7だった。最も低い都道府県は沖縄県で356.3、次いで愛知県の367.5、長野県が367.6だった。

 部位別でも地域差がある。たとえば胃がんの罹患率は、全国で人口10万人当たり48.2に対し、新潟県74.7、秋田県70.3など寒さが厳しい日本海側の地域が上位を占めた。

 一方、肝臓がんは全国の14.7に対し、佐賀県が21.6、愛媛県20.7、福岡県20.6など、近畿以西から四国・九州地方に多い傾向が認められている。

 胃がんリスクである塩分過多の食生活や、肝炎ウイルス感染者が多い地域など、以前から指摘されてきた危険因子の影響が如実に表れた。今後は各地の実情に沿った対策が求められるだろう。

 国立がん研究センター・予防研究グループによる「日本人のためのがん予防法」では、(1)禁煙(受動喫煙を含む)、(2)節度ある飲酒、(3)食塩は最小限に、野菜や果物を食べ、熱い飲食物を避ける、(4)1日60分以上の身体活動、(5)適正な体格指数(BMI)の維持、(6)肝炎ウイルス、胃がんの予防につながるピロリ菌感染の有無を知り、適切な処置をとる、の6点を推奨している。

 個人的ながん対策も怠りなく。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)