自己視点から他者視点に
切り替えてあげてから

まず対応するための一番のポイントは、自己視点から他者視点に切り替えてあげることです。

前ページに挙げたようなモンスター新人の特徴は、一言でいうと自己視点が強い身勝手な行動です。

昨今では多様性や個性の尊重、個人の価値観の尊重が謳われています。その考え方自体は正しいのですが、それを自分の都合の良いように捉えて、「自分が好きな事だけやれば良い」とか、「上司や先輩は自分を尊重するべきだ」という身勝手な考え方になっている新人がいるのです。

学生時代はそれで良かったかもしれませんが、その考え方では社会人としては通用しないという、“社会人としての基準”を教える必要があります。

また、新人として知識や技術があるわけではない今の時期は、社会人としての基礎的な力や、社内、社外問わず、仕事をする相手との信頼構築が大事なことを理解させる必要があります。

私は新人研修の冒頭では、まずは学生気分からの脱却と、社会人としての常識=ルールを覚える必要性を説きます。

「信頼を得られないと良い仕事はできないし、今後重要な仕事だって任せられないよ。今のその対応で、周りの人が〇〇さんを信頼して一緒に仕事したいと思うかな? 学生時代はお金を払って授業を受けていたけど、社会人は、今の瞬間だってお金を貰って仕事をしているんだよ」

もし〇〇さんが、私の立場だったら、今の言動を見て心地よい気分になるかな? 仕事は相手に価値を感じて貰って初めてお金を頂けるもの。お客様だって価値が無いものにお金は払わないよね?

自分が好き勝手なことをやるのではなく、自分がどうすれば価値発揮できるかを考えないと社会人としては周りに認められないよ」

効果的なのは1対1で話をすると「それはあなたの感覚でしょ」と個人の見解だと片付けられてしまいますので、そんな時は集合研修で、常識が備わっている新人と一緒に学ばせることで自分の基準の甘さに気付かせるのが効果的です。

モンスター新人に出くわしたら絶対放置はいけません。
早目の対処で社会人の基準を教えてあげましょう。

自分勝手な「モンスター新入社員」が<br />入社してきたら、どう対処するのがいいのか羽田 徹(はだ とおる)
話し方コンサルタント・トップ講師プロデューサー・株式会社web-school.tv代表取締役
大学生の頃よりラジオDJを始め、1998年に大阪人気No.1のFM802主催の新人DJオーディションに合格。その後FM愛知や文化放送でラジオオDJとして10年間活動。番組降板により挫折し不動産投資会社の営業に転職。話し方を武器にさらに営業力を磨き、2年目にトップ営業になる。2008年にはその営業力が認められ倒産寸前だったロープライス眼鏡会社の取締役営業本部長に就任し、当時64店舗から110店舗への躍進を支える。またインターネットカフェ最大手にて社外取締役を歴任。2012年、ラジオDJとしての話し方の技術、営業力、組織マネジメント力、経営経験 などを生かし、組織人事コンサルタント会社のリンクアンドモチベーションにてナビゲーター(研修講師)、ファシリテーターとして活動。大手企業からベンチャーまで年間100件以上登壇、延べ2万人以上の人たちと接する。研修講師の採用や育成の責任者も兼任。新人やマネジメント研修、エグゼクティブへのスピーチ・プレゼン指導、組織活性ワークショップ、働き方改革の為のロジカルシンキング講座などを得意とする。自身の経験から「学びでこの世界を豊かにする」を理念として活動中。著書に『ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本』(同文舘出版)がある。社会人のための「話し方動画教室オンライン」運営。