人口減少によるわが国の消費のパイの縮小はこれから本格化してくる。消費を担う中心世代を20~59歳と仮定して、四半世紀(25年)ごとの人口の変化を見てみよう(国際連合推計データより)。
1970~95年に同年齢層は1241万人増加した(21%増)。95~2020年は1020万人減少だ(14%減)。ただし、この四半世紀はその上の世代である60~74歳が651万人も増加してきた。このため、多くの企業はターゲットを高齢者にシフトすることで消費縮小を和らげようとしてきた。
しかし、次の四半世紀(20~45年)は状況がはるかに厳しくなる。20~59歳は1542万人も減少する(25%減)。しかも、60~74歳も73万人減少だ。多くの市場が縮んでくる。その環境下でも伸びる市場や縮小幅が小さい市場は存在し得るが、多数の企業がそこに群がれば競争は激化する。
人口減少下では国内生まれの労働者数も減少していく。しかし、テクノロジーの進化による省力化が今後の人手不足を部分的に補っていくなら、供給サイドの縮小は需要サイドの縮小よりも緩やかとなる。よって、縮んでいく消費をめぐってのパイの取り合いは激しくなりがちだろう。
しかも、日本銀行の金融緩和策が仮に今後も続くと、それも競争激化に拍車を掛ける。企業は金融機関からの超低金利の借り入れを持続できるため、多数の低採算企業(またはゾンビ企業)が市場にとどまることができるからだ。