ニキビと食べ物の関係は昔から指摘されています。

 チョコレートを食べるとニキビが悪化する。外来ではこういった患者さんの自己申告を聞くことがあります。

 吹き出物の原因となる黄色ブドウ球菌やニキビ菌は、サイトカインという物質を免疫細胞から産生させます。このサイトカインはもともと、細菌などを殺すために体の免疫細胞が放出する炎症性の物質。このサイトカインが、皮膚ではニキビなどの炎症を引き起こす原因となります。チョコレートは、ニキビ菌や黄色ブドウ球菌が引き起こすサイトカインの産生を増強させます。つまり、チョコレートが皮膚での炎症を悪化させる可能性が試験管レベルで報告されています(Cytokine 62: 40-43, 2013)。

 牛乳とニキビの関係も報告があります。4273人の少年を調べた研究では、牛乳やスキムミルク(脱脂粉乳)の消費量とニキビとの関係が認められたとあります(J Am Acad Dermatol 58: 787-793, 2008)。

 魚や野菜をあまり食べない人にニキビが多いとの報告もあります。2016年、イタリアのグループは、魚を週3回以下しか食べない人のほうがニキビができやすいことを報告しています。野菜やフルーツに関しても週3回以下の摂取はニキビの原因となる可能性があります(J Am Acad Dermatol 75: 1134-41, 2016)。

 最近、インターネットで多く目にするようになったのがニキビとGI値の関係。GI値が高い食事はインスリンを多く分泌し、血中インスリンの増加に伴って皮脂の分泌が亢進します。そのため、低GI食はニキビの改善、予防に役立つと考える専門家もいます。実際、韓国の研究グループは32人のニキビ患者さんをランダムにわけ、低GI食を食べた人たちが10週間後にニキビが改善したと報告しています(Acta Derm Venereol 92: 241-246, 2012)。このため、低GI食がニキビによいとする意見が増えてきました。

 しかし一方、別のグループが43人を対象とした試験では、GI値が高い群と低い群でニキビの改善の差が見られなかったとしています(Nutrients 2(10), 1060-1072, 2010)。

 このように、食べ物とニキビの関係はいくつか研究されているものの試験管レベルの結果であったり、反論があったり、はたまた不完全なものであったりします。数十人規模での研究では集団によって結果が異なることもあります。このため、チョコレートも牛乳も低GI食も、たまたまニキビに影響した研究結果になった可能性を否定できません。