スピード復旧できた路線と
できなかった路線の違いとは

 青森県八戸市と岩手県久慈市を結ぶ八戸線は、津波被害を受けたJR線としては最も早く、震災から約1年後の2012年3月に全線復旧した。沿岸部で線路や橋梁が流出する被害を受けたが市街地の移転は行われなかったため、駅や線路に72ヵ所の避難経路を整備して、震災前と同じルートで復旧した。

 一方、石巻線は津波で全壊した女川駅を内陸に移設、地盤沈下した土地のかさ上げをして、2015年3月に復旧した。津波対策と復興のために、高台移転や市街地の再編を行った地域では、計画の決定とかさ上げ工事を待ってから鉄道の復旧工事に着手したため、時間を要する結果となった。

 復旧工事にあわせて「攻め」の投資を行い、輸送体系を刷新したのが仙台と石巻を結ぶ仙石線だ。仙台都市圏の通勤利用者が多いあおば通~高城町間は2011年5月までに運転再開したが、津波被害が大きく、内陸移設工事を必要とした高城町~陸前小野間の運転再開は2015年5月まで待たねばならなかった。

 そこでJR東日本は、かねてより要望の大きかった石巻~仙台間の所要時間短縮を実現するため、仙石線高城町付近に0.3kmの連絡線を整備して、東北線経由で石巻に直通する「仙石東北ライン」を新設した。2019年3月16日のダイヤ改正で所要時間はさらに短縮されたほか、輸送力も増強され、利用者数は好調だ。

 一方、市街地が壊滅的被害を受けた地域では、復興事業の長期化と交通機関の長期運行停止は死活問題である。

 宮城県と福島県県境付近にあたる常磐線浜吉田~相馬間は、津波浸水区域の線路14.6kmを周辺市街地とともに内陸に移設する大規模な復旧工事を行い、震災から5年以上が経過した2016年12月に運転を再開した。

 仮設住宅や仮移転先での避難生活は2~3年が限界で、それ以上になると帰還を諦めて移住を選択する傾向が強まるそうだ。立派な防潮堤に囲まれた復興住宅が完成しても、被災地域の産業衰退や人口減少に歯止めがかからないという現実があるのだ。

 そのジレンマの中で、異なる選択肢を選ばざるを得なかったのが、最も津波被害の大きかった宮城県から岩手県にかけての沿岸部を走る気仙沼線と大船渡線だ。気仙沼線は9駅と約19kmの線路が流出。大船渡線は6駅と約15kmの線路が流出するという、広範囲に甚大な被害が発生した。