日本の10年国債の利回りが、ついに0.8%台を割り込んだ。欧州金融危機を逃れた資金がアメリカ、日本、ドイツの国債に流入していると言われる。これらの国の長期金利は、歴史的な低金利水準だ。
日本銀行による国債購入は、札割れの事態に陥った。日銀が国債を買おうとしても、銀行が売らないのだ。このため、マネタリーベースを計画通りに増やせない状況に陥っている。
流動性トラップでなく国債バブル
国債への需要が強いのは、今後も国債価格が上がる可能性があると考えられているから。つまり、将来、金利はまだ下がると予測されているのである。
これは、流動性トラップとは逆の状況である。
流動性トラップとは、貨幣(流動性)に対する需要が無限大になっているため、貨幣供給をいくら増やしてもトラップに吸い込まれてしまい、金利が低下しない状態だ。こうなるのは、金利が非常に低い水準に落ち込んでいるため、将来の予想としては金利の上昇(国債価格の下落)しか考えられないからである。したがって、国債に対する需要が発生しないのである。
ところが、現在の日本では、国債に対する需要がきわめて大きくなっている。これは「日本国債バブル」と呼びうる状況である。
後に述べるように、日本の財政状況はきわめて悪い。それにもかかわらず国債に対する需要がこのように大きいのは、不自然である。これはヨーロッパの金融危機がもたらした異常な事態であるが、日銀による国債購入がバブルをあおっている面も否定できない。