たとえば、スクリーンショットは基本的にダウンロード違法化の例外としてもよいのではないかと思います。レコードやCDの音楽をカセットテープに複製するのは、著作権違反ではありません。これは、カセットにダビングするのは基本的に自分で楽しむためという私的利用が目的であることに加え、カセットというアナログ媒体に複製したら音質が劣化するという面もあるからです。

 いくらデジタルのネット上でも、スマホの画面を撮影するスクリーンショットだと画質が多少は劣化することと考えれば、スクリーンショットはカセットへのダビングと同列に扱える部分もあるのではないでしょうか。

 また、ダウンロード違法化の刑事罰が親告罪であることを考えると、ダウンロード違法化の対象となることを望まないコンテンツのジャンルごとの業界団体なり個別の作者なりがいる場合に、刑事罰を親告する権利を明示的に放棄する、または繰り返し複製するなど悪質性が高い場合のみに親告するといった条件を宣言しやすくする仕組みを、導入する手もあるのではないでしょうか。

ダウンロード違法化の
最適解はあり得るか

 過去に“creative commons”など、同様に著作権を自ら放棄する取り組みもありましたが、それらを参考にダウンロード違法化に反対するクリエイターなどが、自らの作品をその対象外であると宣言しやすくするのです。

 個人的には、このように柔軟な対応を考えることで、基本的には違法なコンテンツのダウンロードはダメ、でもその例外を制度的に多く担保することでネット利用の萎縮などの悪影響を最小限に抑えるようにする、というアプローチでしか、最適解は見出せないのではと思います。

 著作権法改正法案の国会提出が先送りになったことで、文科省はダウンロード違法化の制度設計を再検討することになると思います。このような柔軟な対応をどう検討していくのか、見守っていきましょう。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)