旅客機「737 MAX(マックス)」 が飛行停止になって以降、ボーイングのコスト負担が膨らんでいる。だが投資家に痛手を被らせているのは技術的な修繕費や損害賠償金、航空会社への補償金ではなく、ソーシャルメディアで広がった風評が同型機の受注に足かせとなったことだ。ここ半年で2度の墜落事故が737MAXで発生したことを受け、世界各国の航空当局が同型機の飛行を禁止する一方、ボーイングは不具合が疑われる飛行制御システムの修正に取り組んでいる。ボーイングの株価は依然として年初来15%高とS&P500種指数の上昇率を上回るものの、時価総額は今月に入り400億ドル(約4兆4200億円)減少した。過去には、墜落事故や飛行停止は航空機メーカーにほとんど影響を及ぼすことなく終わっていた。かつての米航空機メーカー大手マクドネル・ダグラスの広胴型機「DC-10」は事故続きだったが、それでも何十年も飛行を続けていた。航空機は消費者製品とは異なる。航空会社は通常、大挙して別のジェット機に乗り換えたりすることはない。