ゴールから逆算する力を身につける
仕事を細分化して、そこに定量情報を加える習慣がつくと、次に取り組んで頂きたいのが「逆算する力を身につける」ことです。
逆算する力とは、ゴールから逆算して物事を考える方法のことです。スポーツに置き換えると、野球で言えば9回、サッカーで言えば90分、マラソンで言うと42.195キロを踏まえて、ペース配分や戦略を考えるということになります。
そして、ビジネスパーソンにとって大切なのは、まずゴールを明確にすることです。
しかしながら、このゴールを明確にせず仕事に取り組む場合、仕事を細分化する際に、仕事の最初の段階・工程から細分化を始めてしまいがちです。
これは、一見合理的なようですが、最初の段階で多くの手間をかけてしまい、結果として納期遅れや予算オーバーを招いてしまうことが多々あります。
子どもの頃、新しいノートを使う時、最初の方のページは丁寧に書こうとするものの、後半になるにつれて、文字の書き方やノート紙面の使い方が雑になったのと、よく似ていると思います。
一方、ゴールを明確にして、そこから逆算して物事を考えるようにした場合はどうでしょうか。
最終納期から逆算して業務工程を考えたり、目標原価を与えられている場合は、目標原価総額を最終工程から逆算して各工程に振り分けたりといったように、目線をゴールにおいて考えることから、定量情報をバランスよく振り分けやすくなります。
また、私は仕事柄、中小企業の予算設定や進捗管理、キャッシュフローの改善に取り組んでいますが、ここでもまずは「ゴール」を決めて取り組むようにしています。
予算であれば、通常は、売上から決めて、原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益といった順序で予算を決められる経営者が多いでしょう。
しかし、そうではなく、まずは最終的な税引後の当期純利益の目標値を設定し、そこから逆算して、経常利益や営業利益、売上総利益、そして売上高という順序で逆算して、必要な売上を求めるようにするのです。
こうすることで、根拠のある売上予算を決められるのです。
また、キャッシュフローであれば、とりあえず改善から始めるのではなく、最終的に会社として安定的に確保したいキャッシュの目標ライン(キャッシュストック)を設定して、そこからキャッシュイン(収入)とキャッシュアウト(支出)のバランスを精査し、目標となるゴールの金額に向けての改善を行います。