ワタミが低価格居酒屋業態を拡大させる。
介護と宅配食事業が急成長する一方で、創業事業の居酒屋部門で売り上げ、利益共に前年割れが続くため、てこ入れに乗り出すのだ。
まず、これまで進出していなかった県への進出を加速する。また、「和民」のうち60店舗を順次改装していく。意外なのが低価格居酒屋業態の「仰天酒場 和っしょい2」を拡大する点だ。
料理を300円前後の価格に抑えた低価格居酒屋は、2009年ごろから急速に増加したが、「既にブームは去った」(大手居酒屋チェーン幹部)という見方が強い。
しかし、桑原豊社長は「実は、第2次低価格居酒屋競争が起きている」と捉えている。大手は撤退したものの、東京の繁華街では局地的に中小居酒屋企業の低価格居酒屋が増加し、同エリアの和民の売り上げが減少してしまっているという。
ただし、性急に対抗するのではなく、モデルケースの構築には時間をかける。
というのも、低価格居酒屋の中には、それまでの別の居酒屋の設備のまま転換し、価格だけを低くした店も多く、桑原社長はそれを問題視するからだ。「本来、低価格居酒屋はそのために立地を考え、専用の店舗設計、仕入れ、オペレーションを開発しなければ、安くていいものは提供できない」と言う。
今年は4店舗でモデルケースを探り、来年以降、一気呵成に拡大。「最終的には300店舗以上を目指す」(桑原社長)。
客単価は2000円程度というから、サラリーマンにとってはうれしいニュースといえよう。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)