統合はまだ先であるにもかかわらず、すでに「JPXの濵田」と言い、株主である商品先物業者らの怒りを買っている有り様だ。濵田氏はさらに、東商取の商品をJPX傘下の大阪取引所に移す関係などから「JPX役員・大阪取引所役員・東商取社長」の3つの肩書きがつくとして「給料が3倍になる」と周囲に冗談を言う厚顔さだという。

 これまで濵田氏が総合取引所の実現に慎重だった背景には、監督官庁の天下りポストを巡る省益争いがある。株式や金融先物を扱うJPXは金融庁が監督官庁。東商取が扱う商品先物については、農産品以外は経済産業省が監督官庁となっている。濵田氏を含め東商取の歴代トップは6代連続で経産省OBと、同省の有力な天下り先。前任の江崎氏らの時代を含め、構想が浮上して以降10年以上も総合取引所が実現しなかった背景には、こうした利権を巡り省庁間の調整が進まなかったことがある。総合取引所の実現に際しては、経産省から金融庁に規制・監督を一元化する方向で議論されてきたことから、濵田氏は統合交渉の進展で自身にマイナスの影響が及びかねないと考えていた節がある。

 ところが、1月の面談で自身のポストが確保されたと見るや否やその心配がなくなり、考えを翻したというわけだ。濵田氏は総合取引所の基本合意に関する3月28日の記者会見で、「昨年来の何度かの話し合いでJPXとなら実現できると確信し合意に至った」と説明した。だが、先のエピソードからは「自身の処遇こそが最重要」というのが本音とみられても仕方がない。「結局、自分がよければいいのか」――。業界関係者は一様に、そんな濵田氏のトップとしての資質に疑問符を投げかける。

レガシーづくりに奔走
内規違反もトップに居座る

 かたや、JPXの清田氏。かねて総合取引所が「日本市場の活性化に必要」と語ってきたのは表向きの理由だ。その裏側には、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)導入をはじめ、幾つか目に見える成果を残した前任の斉藤惇氏(現プロ野球コミッショナー)に比べ、15年からCEOを務める清田氏にはなお目立ったレガシー(遺産)が見当たらないという事実がある。

 実際、総合取引所として実質的な機能を発揮するには東商取から多様な商品の移管が大前提となるはずだが、交渉の初期段階で半ば「総合取引所が実現さえすればよい」とディールを急ぐかのような姿勢を示した清田氏の「筋のなさに驚いた」という業界関係者の証言もある。成果づくりをしたいとの焦りにも似た思いが垣間見えるわけだ。